コラム
最後のスキー
牧師 飯田敏勝
子どもがスノボを(全く初めてですが、友だちと思い出作りのために)やるというので、送迎がてらわたしも田沢湖スキー場に行きました。生涯最後の滑走になる可能性、大です。
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一般大学時代に研究室でスキー旅行があり、ボーゲンができるレベルではありました。大曲に来て、小学校のスキー教室で親もゲレンデに同伴することがあるというので、道具を買った次第です。
再開まで15年以上のブランクがありましたが、体は覚えているものですね。普通に滑れますし、板がカービングスキーになって足を揃えて曲がるのも簡単です。
啓子牧師は子どもが低学年のときまではゲレンデに出ていましたが、それ以降はご無沙汰でした。
わたしは降雪続きで気持ちが落ち込むときや、東京出張の後の気分転換などで、よく気晴らしにスキーに行っていました。
リフトを下りて、方向転換し、ゲレンデの上から風景を見下ろしたときの爽快感。風を切って滑走したり、リフト乗車中、体の中のよどんだ空気が高原の空気と入れ替わっていくのを実感します。
冬場のかけがえない娯楽でした。
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豪雪地帯の秋田県南は、小学校の体育でスキーがよくあります。学校のグランドで靴を履いたり、歩く練習をした上で、ゲレンデに行きます。レベル分けされた班に親が同行し、コースどりをしたりするのです。
本当に滑れない子は学校の先生が指導します。
それを見るのは、本当に楽しいものです。朝はまるで滑れなかった子が、数時間で見違えるように上達したりします。神の国は、成長するものです(マタイ13章ほか)。たとえ話にあるような植物の生長は目視では確認しにくいですが、スキーは手に取るように把握できます。
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秋田の子にとってスキーは、走れるとか泳げるのと同じように、上手い下手の差はあれ、できて当たり前の行為です。滑ること自体は嫌いでなくとも、一人ずつ滑るので、寒い中で順番を待たされることが嫌だったなどとうちの子も言っていました。
スノボは楽しいとの噂を聞いて、スキー場でスマホ動画を見ながら数時間で滑れるようになっていました。その成長ぶりにも驚かされました。
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年明けから引っ越し準備に追われていましたが、転任ゆえやむなしとの思いに駆られていました。10年以上使った板と靴はリサイクルショップへ(食事代くらいにはなりました)、ボロボロのウェアは処分しました。そうすると、急に秋田を離れるんだという実感が湧いてきましたね。