コラム

讃美歌解説 「新しい天と地を見たとき」

飯田敏勝

 8月の礼拝で讃美する21-580「新しい天と地を見たとき」は、『讃美歌21』の最後の曲です。
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 讃美歌集としてどんな配列で曲を収録するかには、背後に思想があります。
 『讃美歌(1954年版)』や『讃美歌21』は、大きく括って前半は礼拝、後半は信仰生活を歌うものです。『讃美歌第二編』は曲の様式別によって分類されています。
 ただ、いずれにしても最初や最後の曲にはある程度特徴が出るものです。
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 21-1は案外クセモノで、前任地では結局チョイスできませんでした。
 今月祈祷会で讃美している21-52も難しいとは思いますが、他に類を見ない聖書信仰をうたう詞です。

 それに奉仕するメロディーとして個人的には許容しています。
 しかし歌集冒頭の曲がこれほど歌いにくいのは、ある意味、この『讃美歌21』全体の性質を代弁している気がします。
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 くだんの21-580は、「神の国」の範疇ですが、この範疇の配置がⅠ編と全く違いますね。中項目「Ⅶ終末」の中に、「死・甦り・永遠の生命」と「神の国」があり、わたしたちの信仰が何を目指しているかを、こうした配置によっても語ります。
 素直に黙示録21章を基にした歌詞は、聖書自体の配列とも重なり合い、歌集最後の曲として相応しいと判じます。
 この曲を歌う8月は、平和や死について思いを馳せる機会が多い時期です。更にその背後にある、神さまが備えておられる恵みにも讃美歌によって信頼を寄せていきましょう。
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 次週の主日礼拝後に讃美歌練習も行いますが、祈祷会で既に何回も歌っているので、お馴染みの方も多いかと思います。
  21-580「新しい天と地を見たとき」は、素直に口語の歌詞が歌いやすいものです。
  1節や3節の内容は、まだ体験したことがない事柄です。それでも我が口で讃美する
 ことによって、確信を深められることでしょう。2節の命令形の歌詞は、神さまが命じられることですよね。それを実際に唱えることで、あたかもわたしたちが神さまの御前で襟を正すと共に、新しい生き方に送り出される気がします。
 4節の名詞が連なる歌詞が、わたしは気に入っています。黙示録22章に基づいて、主イエスを聖書が語る通りに言い表すからです。象徴による表現です。字義通りに意味を説き明かすだけでなく、イメージも膨らませながら受け止め、なおかつ表現することが大切です。