コラム

「読書案内 『詩編―こどもとおとなのための―』&『聖書からの贈り物―祝福・励まし・慰めの聖句集―』」

飯田敏勝

 先日聖文舎で何気なく出くわしましたが、なかなかすごい本ですよ、これ。
 (絵)アルノ、(原文)М.H.デルヴァル、(文)佐久間彪『詩編―こどもとおとなのための―』(至光社、2006年)。
 裏表紙には「この絵本は、聖書の詩編の中から えらんだ詩に 幼いこどもにも わかるように 絵をそえて つくられました。神さまと お話しする お祈りが 生まれる きっかけとなるように、そう願いながら お手許に おおくりいたします」と説明があります。
 その“言うは易く行うは難し”を、ちゃんとやっています。
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 実例を示せば分かるでしょう。詩編23編を次のようにパラフレーズしています。
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 神さまは ひつじかい。
 だったら わたしは
   小さなひつじ。
 神さまは わたしを
 いつもいっしょに
   つれてってくださる。
 だから こわいものなんか
   なにもない。
 神さまと いっしょに
 わたしは 歩く。
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 他のページを見てもそうです。ただ言葉遣いを易しくするのではありません。その詩編のキーワードをちゃんと残したり、全体のテーマをきちんと要約しています。
 詩編は、わたしたちの祈りの教室です。その入り口を、非常に入りやすくしてくれる一冊です。
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 先週の全体修養会で、母語を習得するときのように、聖書全体に親しんでもらいたいと伝えました。神の言葉を習得するときも、無暗と語彙を増やしたり、一々文法を確認せずとも、親しんでいくうちに学んでいけるからです。
 ただ、とっかかりが欲しいという正直な声は分かります。
 それに応えてくれるのが、丹治めぐみ・左近豊(編)『聖書からの贈り物-祝福・励まし・慰めの聖句集-』(日本キリスト教団出版局、2025年)です。
 親しみやすい聖句をTPОに合わせて並べた類似書は多くあります。ですが短い箇所であっても、新しい聖書協会共同訳なだけで新鮮な響きを感じます。
 こうした本に挙げられている聖句に、まず親しんでおくと、通読をしたときに手掛かり足掛かりとなって、聖書全体を把握していくのに役立ちますよ。